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しばられて、ぐったりと気を失っているのは、まぎれもなく寶石王加藤寶作老人ではないか。
落ちた仮面
「ああ、知らなかった、知らなかった。わしの秘書があの恐ろしい銀仮面とは、きょうのきょうまで知らなかった……」
それから間もなく、警官たちのかいほうで、息を吹きかえした寶作老人は、銀仮面の顔を一目見ると、さも恐ろしそうに身ぶるいをして、両手で顔をおおった。
それを聞くと、香代子と金田一耕助は、うたがわしそうに目を見かわせたが、そのときだった。
「ちがいます、ちがいます。銀仮面はその男です。その男が秘書をうって、それに銀仮面の|衣裝《いしょう》を著せたのです」
とつぜん、へやのなかから意外な聲が聞こえたので、一同がびっくりして、キョロキョロあたりを見まわしていると、だしぬけに、正面にあるあの大時計の、振り子のドアがひらいたかと思うと、なかからおどりだしたのは、なんと三太少年ではないか。
「ああ、三太、それではきみはさっきから、いちぶしじゅうのようすを見ていたんだね」
「はい、金田一先生、ぼくはすっかり見ていました。そいつが部下をうち殺し、その手にピストルをにぎらせ、それから、いままでじぶんの著ていた銀仮面の衣裝を著せたのです。そしてじぶんでさるぐつわをはめ、手足をしばって、気を失っているようなまねをしたんです。だから、銀仮面とはそいつなんです。そのおじいさんなんです」
三太にきっと指さされ、さすがの加藤寶作老人も、ハッと顔色をかえたが、すぐ、鼻の先でせせら笑うと、
「なにをばかな! 警部さん、あんたはまさかこんな子どものいうことを、ほんとうにはなさるまいな。かりにもわしは寶石王といわれた男だ。それを銀仮面などと、なにをばかな!」
はきだすような寶作老人のことばに、警部もちょっととまどいした感じだったが、そのときまたもや、意外なところから意外な聲がふってきた。
「いいや、さっきのようすを見ていたのは、その子どもばかりではない。わたしたち三人もここから殘らず見ていたぞ」
その聲に、ギョッとしてふりかえった一同は、聲の主の奇妙なありかに気がつくと、おもわず大きく目を見張った。
そのへやの壁に、五、六十も仮面がかか�
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