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第10部分(第1/4 頁)

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公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれているはずなのだが、文彥のところからは見えない。

空はうっすらと曇っていて、ほのぐらい井の頭公園は、まるで海の底か、墓地のなかのようなしずけさである。井の頭名物のひとかかえ、ふたかかえもあるような、スギの大木がニョキニョキと、曇った空にそびえているのが、まるでお化けがおどっているように見えるのだ。

文彥はそういうスギの大木にもたれかかって、さっきからしきりにからだをふるわせていた。こわいからだろうか。いや、そうではない。銀仮面が約束どおり、おかあさんを連れてきてくれるかどうかと考えると、きんちょうのためにからだがふるえてくるのだ。

おかあさん、おかあさん……。

文彥は心のなかで叫んだ。おかあさんさえ帰ってきてくれたら、ダイヤもいらない、小箱もいらない、なにもかも銀仮面にやってしまうのに……。

どこかで、ホ��鄆‘と鳴くさみしいフクロウの聲。池のなかでボシャンとコイのはねる音。遠くのほうでひとしきり、けたたましくほえるイヌの聲……だが、それもやんでしまうと、あとはまた墓場のようなしずけさにかわった。

文彥は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。

おかあさん、おかあさん……。

文彥はまた心のなかで叫んだが、そのときだった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彥はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。

スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。

「うっふふ、うっふふ」

銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い聲がもれてきた。

「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」

銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彥は思わず一步うしろへあとずさりした。

ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彥の前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。

「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。約束さえ守れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」

「は、はい、ここに持っています」

文彥はポケットをたたいて見せた。

「それをこっちへよこせ」

「いやです」

「なんだ、いやだと?」

「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」

それを聞くと銀仮面の仮面の奧で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。

消えた銀仮面

ちょうどそのころ金田一耕助は、文彥から三百メ��去毪郅嗓悉勝欷俊⒉蕒啶槨韋勝�摔��欷皮い俊�

金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彥をとりまく位置に、めいめい三百メ��去毪郅嗓悉勝欷郡趣長恧摔��欷皮い毪韋饋¥坤�欏€y仮面がどの方角からくるとしても、だれかの目にふれずにはいられない。銀仮面のすがたを見たら、いったんやりすごしておいて、あとでそっと知らせ合うことになっているのだ。

それにもかかわらず、いまもってどこからも合図のないのはどうしたことか。時計を見ると十二時三分。金田一耕助はしだいに不安がこみあげてきたが、そのときだった。

「だれかきてくださ��ぁcy仮面です!」

たまげるような文彥の聲。金田一耕助はそれを聞くと、イナゴのように草むらからとびだし文彥のほうへいっさんにかけていったが、するとそのとき、むこうのスギの木かげから、パッととびだしてきたの

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