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第18部分(第1/4 頁)

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「いいえ。まるきり知らないひとですの」

由美子は寒そうに肩をすぼめながら、

「それが、どういうわけか、このあいだからしじゅうああして、あたしのあとをつけていますのよ。あたしも気味が悪くて、気味が悪くて……。ほんとうにありがとうございました。あのひととふたりきりになったらどうしようかと思いました」

「とにかく、そこまで送っていってあげよう」

仱暝餞妨轄黏頦悉槨盲皮柵郡轆�腦�冥虺訾毪取ⅴ穿‘ッとすさまじい音をたてて、冷たい夜風が吹きおろしてきた。時間が時間だから、どの家も戸をとざして、シ��螭惹蓼筏氦蓼盲皮い搿�

「きみのうちはどのへん? 駅の近くなの?」

「|井《い》の|頭公園《かしらこうえん》のむこうですの」

「それじゃたいへんだ。そんなさびしい道を、きみは毎晚ひとりで帰っていくの。だれもむかえにきてくれるひとはないのですか」

「ええ、にいさんが、このあいだから、かぜをひいて寢ているものですから」

「にいさんのほかにだれもいないの?」

「ええ」

由美子はかなしげにため息をついた。

「それは気のどくだ。じゃ、とにかくとちゅうまで送ってあげよう」

「あら、だって、そんなことをなすっちゃ、荻窪へお帰りになる電車がなくなりますわ」

「なあに、そうすれば步いて帰りますよ。さっきのやつがどこかにかくれているかわからないし……さあ、いっしょにいってあげよう」

「ええ、すみません」

そこでふたりはならんで步きだした。

みちみち由美子が問われるままに語ったところによると、彼女はたいへんかわいそうな身の上であった。三年ほどまえまでは、彼女の家庭はひとにうらやまれるくらいゆうふくであったが、父と母があいついで亡くなってからというもの、バタバタと家撙��郡啶い皮筏蓼盲啤⒔瘠扦閒證趣柵郡轆�輟ⅳ嬰螭埭Δ韋嗓螭兢長恕ⅳ趣轆韋長丹欷皮筏蓼盲郡韋扦ⅳ搿�

「それで、にいさんはなにをしているのですか」

「にいさんはたいへんかわったひとですの」

由美子はちょっとためらいながら、

「親戚や知り合いのかたは、みんなにいさんをきちがい[#「きちがい」に傍點]だといいますけれど、あたしはあくまでもにいさんを信じてます。にいさんはただしくて強いひとです。いま、ある発明に熱中しておりますの」

「発明?」

「ええ、親類のひとたちは、てんで相手になってくれませんけれど、あたしにはにいさんに力があることがわかっています。ただ殘念なことには、あたしたちはびんぼうなものですから、ろくに研究材料も買えなくて、あたし、それでいつでもにいさんを気のどくだと思っています」

「なるほど、よくわかりました。それできみは、そうしてはたらいて、にいさんの研究を助けているのですね」

「ええ、……おばさまさえ生きていらっしゃれば、こんなことせずともよかったのですけれど……」

「おばさまというと……」

「ごぞんじありませんか? 去年ウィ��螭峭訾�勝盲可鶚S家の|鯰《あゆ》|川《かわ》|裡《さと》|子《こ》というひとですの」

俊助はびっくりして由美子の顔を見た。

日本人で鯰川裡子の名を知らぬ者があるだろうか。日本のほこり[#「ほこり」に傍點]というよりも、世界の寶玉とまでたたえられた、偉大な芸術家である。

その鯰川裡子が、このまずしいパン屋の売り子のおばであろうとは!

「おばはやさしいかたでした。あたしたち一家に、つぎつぎと不幸が起こったときには、あのかたは遠い外國にいられたのですが、あのかただけがほんとうに、あたしたち兄妹のために泣いてくださいました。

そして、にいさんがあの発明に熱中しだしてからというもの、お金持ちの親戚たちが、つぎつぎとはなれていったなかに、おばだけはいつも外國からやさしいげきれいの手紙をくださいました。

研究の費用にといって、

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