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第2部分(第1/4 頁)

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あやしいひとは、また鋭い目であたりを見まわすと、やがてつえを草の上において、土手をくだってむこうの小川のふちへおりていった。そして、ジャブジャブと手をあらっているようすだったが、それがすむと、草の上においたつえをとりあげ、それをまたジャブジャブとあらった。

そして、それにきれいにぬぐいをかけると、道の上へあがってきて、それからもう一度、鋭い目であたりを見まわすと、いままでシャンとのばしていた腰をふたたび弓のように曲げ、コトコトとつえをついて、雑木林のむこうへ消えていった。

あまりの気味悪さに、文彥の心臓は、はやがねをつくようにおどった。あやしいひとの足音が聞こえなくなってからのちも、文彥はずいぶん長いあいだ、草のなかにかくれていたが、やっと安心して、雑木林から逃げだしたときには、からだじゅうがべっとり汗でぬれていた。しかも、そのとき文彥は、まだまだもっと恐ろしいものを見たのである。あやしいひとがさっきつえをおいた草の上を見ると、べっとり赤くぬれているではないか。文彥はおそるおそる指でさわってみて、すぐに、それが血であることに気がついた。

ああ、さっきのひとは、小川で血のついた手をあらっていたのだ。

白髪の老紳士

文彥が臆病な少年だったら、もうそれ以上がまんすることはできなかったにちがいない。きっとその場から逃げだして、家へ帰ったにちがいない。

ところが文彥はたいへん勇敢な少年だったので、それを見ると反対に勇気が出てきた。文彥は大急ぎで、いまあやしいひとがやってきたほうへ走っていった。

すると、ものの五十メ��去毪玀い�勝いΔ瀝恕ⅳ啶長Δ韋郅Δ�槁劋長à皮�郡韋稀ⅳ堡郡郡蓼筏け�Qだった。どうやらひとを呼んでいるらしく、かわいい少女の聲のようなのだ。

文彥はそれを聞くと、いよいよ足を早めて走っていったが、すると、きゅうに雑木林がとぎれて、一軒の洋館が目のまえにあらわれた。見るとその洋館の窓から、文彥とおなじ年ごろの少女が、半身をのりだし、両手をふって、金切り聲をあげているのだ。

文彥はそれを見ると、むちゅうで門のなかへとびこんだ。門から玄関までは二十メ��去毪�槨いⅳ搿N難澶悉餞蔚坤頦啶�啶瀝澶Δ親撙盲皮い�取⑿�vからなかへとびこんだが、そのまえに、ちらりと玄関のわきにかかっている表札を見ることを忘れなかった。

その表札には、たしかに、大野健蔵という四文字。

文彥はハッと胸をおどらせると、少女の叫んでいる、左側のへやへはいっていったが、そのとたん、思わずアッと立ちすくんでしまった。

そこは二十畳じきもあろうと思われる、広い、そしてぜいたくな洋間だった。いすからテ��芝搿⒎櫎違�‘テンから床のしきもの、なにからなにまで古びてはいるものの、金目のかかったりっぱなものばかりである。

そのりっぱな洋間の中央に、頭の白い老人が、うつむけになって倒れていた。しかも、まっ白な頭のうしろには、大きな傷ができて、そこから恐ろしい血が|噴《ふ》きだしているのだ。

「あ、こ、これはどうしたのです?」

文彥がたずねると、

「どうしたのか、わたしにもわかりませんの。いまお使いから帰ってみると、おとうさんがこうして倒れていたんです」

少女は頭をおかっぱにして、かわいいセ��椹‘服を著ている。

「このひとはきみのおとうさんなの?」

少女は涙のいっぱいたまった目で、コックリとうなずいた。

「それじゃ、表札に出ている大野健蔵さんというひとは、このひとのことなの」

少女はまたコックリとうなずいたが、そのときだった。

大野健蔵という名が耳にはいったのか、床に倒れていたひとがかすかに身動きをすると、

「だ、だれだ……|香《か》|代《よ》|子《こ》……だれかきているのか……」

と、弱々しい聲でつぶやいた。

「アッ。きみ、香代子さんというの。おとうさん、気がおつきになったようだよ、なにか薬は

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